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創刊号
◆『Eビジネスの達人たち』〜最新のトレンドと成功法則を探して〜◆
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◆◆◆ 第36回 Eビジネス研究会 開催決定!! ◆◆◆
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▼お申込みは、http://www.e-labo.netから▼
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テ ー マ: 『インターネット市場の行方と成長の理由』
〜ネット広告代理店がIPOするまで〜
スピーカー: 株式会社オプト
代表取締役COO 海老根智仁 氏
日 程: 平成16年7月15日(木)
時 間: 受付 18:30〜
セミナー 19:00〜21:00
懇親パーティー 21:00〜22:30
場 所: 三田駐健保会館 4F 会議室
※懇親パーティーは、スピーカーである海老根氏とまたはその他の
参加者との名刺交換が可能です。名刺を多めにお持ちください。
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________★第34回 Eビジネス研究会★________
テ ー マ: 『ビットバレーの創始者、起業家人生を語る』
〜Eビジネスにおける、起業・成功の秘訣とは〜
スピーカー: 株式会社ネットエイジ
代表取締役 西川潔 氏
34回目の今回は、かつてITが注目されはじめたころ ”台風の目” として一大ブームを巻き起こした、「渋谷ビットバレー」の創始者であり、その後、数々のEビジネスを事業化、独立会社化し成功を収めている、株式会社ネットエイジ代表取締役の西川潔氏をお迎えしてお送りしました。
インターネットの限りない可能性を信じ、サラリーマン時代に起業家を志した体験を振り返るとともに、Eビジネスにおける起業・成功の秘訣について語っていただきました。
■アメリカの起業文化に憧れて
現在47才の西川氏は、東京大学卒業後、KDD(現KDDI)に入社。勤務態度こそまじめだったが、半官半民的で旧態依然とした同社の社風に希望が持てず、数年で同社を退社。その後、1年あまり欧州各地を放浪の旅に出ることになる。学生の頃から成績は常にトップ、東大にもストレートで合格し、一流企業にも就職したがこの頃自分の人生について初めて悩んだときだったという。
その後、米国のコンサルタント会社「アーサー・D・リトル」に入社、7年間コンサルタントとして働くことになる。転機は、ボストンにある米国本社勤務時代。優秀な社員たちが会社をやめて起業していく姿に、ある意味カルチャーショックを感じたという。
「コンサルタント業をやりながらも、この仕事は自分の一生の仕事ではないという思い。なんとなくモラトリアム気分が抜け切らなかった。日本と違い米国では起業が文化として根付いており、成功してヒーローになる人も多い。そうした社会を目の当たりにして強く憧れを持った。」
しかし、当時は起業の願望こそ人一倍であったが、具体的にどんなテーマでビジネスを展開するのかは全く考えていなかったという。そんな時、知人からアメリカの世界最大インターネット企業「AOL」が日本法人を設立するという情報を耳にする。パソコン通信の時代からインターネットの可能性に魅力を感じていたため同社に就職。AOLジャパンの立上げに携わることになる。起業を志したものの、皮肉にもサラリーマンに出戻りする形となった。 この時、既に38才。自分の中で起業のリミットは40才までと決めていた…。
■夢のないビジネスプランに資金は集まらない
AOLジャパンの立上げに携わり2年。ついに一大決心をする。97年、その頃日本の家庭に急速に普及し始めていたパソコンのセットアップやパソコン教師の派遣を請け負う「ホライゾングループ」を創業した。会社をやめずに起業する、いわゆる今でいう「週末起業」だ。「サラリーマン時代に貯めた貯金を取り崩しても資金はごくわずか。正社員など雇えるはずもなく、派遣する教師も学生アルバイトだった。今から考えると起業とは程遠く、起業のまねごとみたいなものだった」と当時を懐かしく振り返る。
そうこうしている間にも、頭の中には、インターネットを活用したビジネスプランが泉のごとく湧き上がっていた。中でも魅力を感じていたのが、現在のネットエイジの事業そのものである「インキュベーター」という業態だった。
当時、米国で成功していたインキュベーター会社「アイデア・ラボ」について、徹底的にリサーチを行ない、同社をモデルとした会社の立上げを準備する。事業計画をまとめた目論見書を手に、大学時代の先輩、後輩、知人などのつてを辿り何とか集めた創業資金は1,500万円。インキュベーターという業態の魅力を熱く語り、必ずニーズはあると疑わなかった信念が人の心を動かした結果だった。
「今になって分かったことは、夢のないビジネスプランに資金は集まらないということ。人に共感してもらえないような事業ならば、自己投資をしてまで起業する意味はあまりないと私は思う。これは今の会社を経営していく上でも同じことが言える」
そして、98年2月、ついに日本では数少ない本格的ネットビジネス・インキュベーター「ネットエイジ」社が誕生したのである。
■窮地を救った自動車コンテンツ
希望に満ちた船出とは裏腹に、世間は厳しかった。起業したとはいえ、当時の社員は学生アルバイトが2人。一ヵ月100万円以上かかる経費で、創業資金はあっという間に底を尽きた。今から考えると無謀中の無謀だった。
採算の合わないコンテンツには見切りをつけるとともに、新たなコンテンツを絶えず立ち上げ、複数のコンテンツを並行する形で何とか切り盛りしていたという。
そんな矢先、あるコンテンツが同社の窮地を救う。YAHOOの「自動車コンテンツ」である。新車の発表記事、ユーザーの目から見た車の評価・・・・・など自動車に関するあらゆる情報を一まとめにした自動車雑誌のようなコンテンツで、ここに掲載されるバナー広告の収入が同社の窮地を救った。当時(99年頃)は自動車業界も今ほど景気は冷え込んでおらず、トヨタや日産が月に約2,000万円を広告・宣伝費に充てるご時世だった。
また、このコンテンツと並行して展開したのが、「新車見積りサービス」だ。ネット上で新車の見積りができる、いわばネットディーラーであり、このコンテンツの売り込みには半年間全国のカーディーラーを奔走。YAHOOからの条件であった200ディーラーの契約も見事達成した。
新星のごとく現れた同コンテンツに、業界内の反響も大きかった。新車見積りサービスをスタートさせた数日後に一本の電話が入る。「御社の自動車コンテンツに非常に興味がある。ぜひとも御社を買収したい…」この声の主こそ、現ソフトバンク代表取締役の孫正義氏であったことは、今となってはあまりに有名な話だ。
しかし、同社がコンテンツを売り、そこから利益を得る「インキュベーター」という業態である以上、会社本体の売却はできない。結局、コンテンツのみを売却することで両者は合意に達したのである。買収額は約1億9000万円。ネットエイジ社は、一気に企業としての歩みを加速させた。
この売却を機に、同社はいわばネットベンチャーの成功モデルとして、業界だけでなく、世間からも注目されることになる。また、自動車コンテンツと同時並行的に展開していた掲示版コンテンツ「フリーML」も着実にユーザー数を伸ばしつつあった。
成功への階段を上り始めるとマスコミが群がってきた、日に日に新聞・雑誌等の取材が殺到するようになり、氏の影響力も次第に大きくなっていた。その頃氏が中心となって始まったのが、かの「渋谷ビットバレー構想」である。これについては今更説明の必要はないだろう。
「渋谷ビットバレー」については、その後、ITベンチャーブームを旋風のごとく巻き起こした。当時は、勢いだけで起業し、失敗する者が続出するなど社会的に議論を呼んだのも事実だ。しかし、氏曰く「日本でも本格的なアントレプレナーシップを育てようという、純粋な若者たちの自己主張が、ネットバブルの波に飲み込まれ、金儲けの上手い大人たちによってゆがめられてしまった」と未だ悔しい気持ちが残るという。
■これから起業を目指す人へ
セミナー後半では、Eビジネスが今後どのような方向へ向かっていくのか、氏の考えを伺うとともに、これから起業を目指す人たちへ向けてアドバイスをいただいた。
買い物、チケット予約、銀行決済・・・・今やインターネットを使えば、生活上のあらゆるサービスが、手間ひま掛けずに受けられる時代。「こうしたサービスに対するニーズは、今後増えることはあっても、減ることはあり得ない。世の中には様々なビジネスがあるが、これほど成長が約束されているビジネスは他にないと思う。ビジネスチャンスは無限にある。」
氏はEビジネスの将来について、すでに成熟期に入ったことを述べた上で、一部世間で言われているような「ビジネス・アイデアの飽和」については、真っ向から否定した。
さらに、これからEビジネスを展開していく上で、キーワードとなるのは「ニッチ」と「アグリゲーション」の二つだとも。ニッチとは、ご存知のとおり「すき間」を意味し、他社がやっておらず、しかも痒いところに手が届くようなサービスを指す。「アグリゲーション」とは、バラバラになった情報を、顧客に分かりやすいように編集し、より付加価値のある情報として提供してあげることだ。
例えば、先ごろ新規株式公開した「ゴルフダイジェストオンライン」社のゴルフ専門コンテンツなどはその典型。ゴルフに特化したコンテンツは、国内では他に例がない。サイト内では、ゴルファーが最も気になる新製品の情報やゴルフレッスンはもちろん、同社はなんと商品を自社で仕入れ、ネット上の仮想店舗で販売するという画期的なサービスを展開している。
また、現在、日本全国にゴルフ場は約2200ヶ所あると言われているが、そのうち1000ヶ所以上のゴルフ場と提携し、これらの予約サービスも行なう。バブル崩壊後、ゴルファーの数は減少の一途をたどっているものの、同社の会員数は増加し続けているというから不思議だ。そこには、ゴルファーたちを魅了する情報が確実にあるのだ。
最後に、起業を志す人たちに氏からこんなメッセージが送られた。「ビジネスはアイデアと人の資質がすべて」アイデアについては、創業前に作った計画を常に塗り替える勇気と柔軟さが必要。人の資質とは、信頼を第一に、資金だけでなく技術やアイデアなど色々な意味で支援してくれるパートナーがどれだけいるかで、その人の価値が決まると。成功というには、まだまだ未熟と謙遜していたが、「アイデア」と「人」で勝負する姿勢は今後も変わることがないだろう。
2004.3.25
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