Q1 |
システム管理者がいない会社作りを目指しているというお話がありましたが、今後会社が大きくなればなるほど、信用やシステムのサポートという面で支障が出てくると思います。その辺りについては、今後も同様の方針でいかれる考えなのでしょうか?
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A1 |
我々もすべてのグループ会社でそうするのは無理だと考えていて、まずはASP型に事業モデルを切り替えていくことが必要と考えています。結局、「サイボウズ・オフィス」を購入していただいた方にとって、インストールしたり、動作確認したりということは誰がしてもよい作業だと思いますので、そういったところの手間を減らすのが最初だと思います。
企業のイメージでいうと、私がまず思い描くのはスタートアップした会社がLANケーブルを引いたり、プロバイダと契約したり、PCを注文したりすると思いますが、その辺りの手間を取り除いていって、ソフトウェアを提供していくのが第一歩かなと考えています。理想としては、ソフトウェアを電話やFAXのように誰でも使えるものにしたいと考えています。
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Q2 |
津幡さんが考えるIPO前の最も理想的な資本供給の手段とは、どのようなものですか?
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A2 |
個人的には、大手ベンチャーキャピタルにお金を出してもらわない方がよいと思っています。というのは、基本的には「企業は人」だと思うからです。弊社も創業間もない時期に当時はジャフコさんにいた人間が経営チームに加わり、今でも外部取締役として経営のアドバイスをしています、私も彼が紹介した人間の縁でサイボウズにジョインしていたりもします。
そういう意味で、長期的に自社にコミットしてくれる人であれば、ベンチャーキャピタルの人を入れてもいいと思いますが、結局銀行の担当者のように異動で入れ替わってしまう人であれば、特に入れる必要はないように思います。IPOにこだわって尻をたたいてくれる人は、もちろんいた方がよいのですが、それは本質ではないと思います。
むしろ、アメリカのように失敗しても面倒を見てくれる良心的なエンジェルのような人たちが、もう少し増えてくると理想的です。また創業メンバー、マネジメントチームで絶対に過半数が株を持っているべきだと思います。ただ、IPOまでの期間や業種によっても違ってくるので、一概には言えません。
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Q3 |
会社の成長と人間(社員)の成長、人件費の成長の関係性について、どのようにお考えですか? M&Aは採用活動のような感覚で捉えているというお話と関連してお聞きしたいのですが。
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A3 |
先ほど、上場前に売上の半分くらいを広告宣伝費に使っていて、現在はその割合が20%くらいに変わってきているというお話をさせていただきましたが、残りの30%がどこにいったかというと、人件費になったのです。
やはり長期的に考えると、そこが先行しているところです。理想をいえば、安定的に人件費を割いていければよいのですが、ある時期人件費が先行していくことは、売上は基本的に人件費と相関していくものだと思いますので、仕方ないのです。
私自身は、企業の最終利益というのは、経営者が目指すべき最大の指標ではないと思っています。企業が大きくなって何を重要視するかといえば、売上の他、人件費と最終利益の合算であって、それが社会価値を作っていくと思っています。ですから、あまり人件費を削ってまで利益を出そうとは考えておらず、むしろ優秀な人を雇うためなら人件費のルールを変えていったらいいと思っています。そういう意味では、今のサイボウズはかなり先行投資している時期だといえます。
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