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■ Report
  
第85回「Eビジネス研究会」                         平成19年6月22日(金) 
   
テ   ー  マ:

『次々と新しいCGMを生み出す「エニグモ」が考える
          ユーザー視点に注力したビジネス戦略とは』
 〜個人をエンパワーメントさせ、
         参加型マーケットプレイスを形成させるまで〜

   
Eビジネス:
マイスター
株式会社エニグモ
代表取締役 共同最高経営責任者 須田 将啓 氏
    
当日の様子はこちらから 当日の資料(抜粋版)はこちらから
               

85回目の今回は、株式会社エニグモの代表取締役 共同最高経営責任者 須田 将啓氏をお迎えして、『次々と新しいCGMを生み出す「エニグモ」が考えるユーザー視点に注力したビジネス戦略とは〜個人をエンパワーメントさせ、参加型マーケットプレイスを形成させるまで〜』をテーマにお話しいただきました。


■広告代理店出身者を中心に起業


エニグモの創業メンバー4人のうち、3人が博報堂のマーケッター出身です。そのため、テクノロジーからのシーズ発想ではなく、マーケットの動向からビジネスを作っています。
2005年2月に「バイマ」、12月に「プレスブログ」、そして2007年1月に「filmo(フィルモ)」と、ほぼ1年に1つのペースで新しいサービスを立ち上げてきました。
本日は、これら3つの事業について詳しくご説明させていただきたいと思います。



■バイマ 
〜個人の目利きとセンスを生かした世界初のCtoCショッピングサイト〜



バイマは、世界中の日本人をネットワーク化し、誰もがバイヤーとして活躍できる世界最大のバイイングマーケットです。2007年1月現在、会員は世界54カ国に26万人。BIGLOBEやSo-netといった大手ポータルサイトとも提携してサービスを展開しています。


【バイマの特徴】


(1)新しい形態のCtoCビジネス
バイマはCtoCのビジネスですが、従来のようなショッピングサイトやオークションではありません。自分の持ち物ではなく、自分が持っていないものを、紹介して売ってしまおうという発想をしています。

私たちは、出品者側にあたる人を「バイヤー」と呼んでいます。バイヤーは、お店で見つけた気に入った物や売れそうな物をカメラ付きケータイで写真に収め、その商品をケータイからそのままサイトにアップします。サイト閲覧者がアップされた商品をオーダーすると、バイヤーは購入の代行を行って手数料収入を得ます。つまり、商品の買い付け業務(バイヤー業務)を売りに出すという考え方なのです。


(2)誰でもリスクなくバイヤーになれる  
バイマにアップする商品は、在庫なしで出品可能です。売れたときだけ手数料が入るという、個人のバイヤーにとってリスクのない仕組みになっています。


(3)安心安全な決済システム  
バイマには独自の決済システムを導入しています。購入者が商品をオーダーすると、まずクレジットカードのショッピング枠が仮押さえされます。その後、バイヤーに注文が入り、バイヤーが商品の購入代行を行って購入者に発送します。購入者は商品を受け取り、受取確認を行います。受取確認の後に、バイヤーに送金される仕組みです。これにより、商品の持ち逃げやお金の取りっぱぐれといったトラブルを回避することが可能です。
また、2007年5月にはクレジット決済のほかに、同等の安全性を持った独自のコンビニ/ATMでの決済方法を導入しました。


(4)リクエスト機能  
バイヤーと購入者を繋ぐリクエスト機能も設けています。リクエストには、商品の銘柄を指定して、その商品が入手できるバイヤーを募る「公募型」と、自分が購入したい商品カテゴリーの中で売れっ子のバイヤーを指定できる「指名型」があります。商品を指定しなくても「母の日のプレゼントにお勧めの商品」といった抽象的なリクエストも可能で、購入者が予想しなかったような商品に出会うこともできます。


(5)世界中から商品を購入可能  
世界54カ国にいるバイヤーたちは現地在住の日本人。日本人バイヤーから商品を買えるということは、言葉の壁がなく世界中の商品を購入できるということが魅力。また、日本人同士なので商品を選ぶセンスが似ているという心理的障壁がないということも特徴です。


【バイマのメリット】
 

世界中に張り巡らされたバイヤーのネットワークという特長から、商品購入の際、内外価格差による価格メリットがあること、世界で発売される新商品が即日購入できるといったリアルタイム性、日本から撤退したブランドなど現地でしか購入できないモノを購入できるといったメリットが生まれています。バイマでは商品が1個でも売れればビジネスが成立するため、ロングテール的なニッチな商品展開も強みになっています。


世界中から流行の兆しを把握できることも強みです。バイマで売れている物が3ヵ月後くらいに日本のメディアで取り上げられブレイクするという現象が起こっています。今までに、ブラジルファッション、メキシコダイエット食、くすぐりエルモ、ボージョボー(スピリチュアル系のお守り)などのヒット商品が生まれました。


バイヤーと購入者の間ではコミュニケーションが活発です。こちらからCRMの働きかけをしなくても、ブランドの新作や限定品の発売などを、バイヤーが購入者に案内してくれています。


【成功ポイント


バイマが成功した要因として、CtoCの不安を解消する安心決済システムの確立と、在庫を持たない等、バイヤーのリスクを徹底的に軽減したことが挙げられます。また、女性誌をはじめとする紙媒体へのPRにも力を入れました。合計60誌以上に掲載されたことで、信頼感が醸成されました。CtoCサービスのため、サイト内で特集を行うなど、商品・バイヤーの方向付けの施策も重視しています。




■プレスブログ 
〜個人ブロガーの情報発信力を活用した世界初のプロモーションシステム〜
 


プレスブログは、メディア発信力のある個人ブロガーをネットワーク化した世界初のクチコミプロモーションシステムです。商品・サービス情報を「プレスリリース」として配信し、実際の記事掲載に応じて編集費を支払う仕組みとなっています。現在、会員数は18万人。ユーザーが書き込むブログは限定していませんが、livedoor ブログ、So-net blogとは提携を行い、プレスリリースの露出を高めています。


【プレスブログ立ち上げの背景】  


過去、企業の情報にふれる手段はマスメディアしかありませんでした。今では個人のメディアから情報を得る機会が多くなりましたが、企業と個人メディアを仲介するサービスがありませんでした。そこで、今までプレスに送っていたリリースを、個人メディアの発信主体であるブロガーにも送るサービスを始めました。現在は他社もサービスを始めていますが、このプレスブログが最も先発です。


【プレスブログの仕組み】


プレスブログはブロガーをネットワーク化して、ブログからリリース(企業の情報)を発信してもらう仕組みを提供しています。クライアントからリリース情報が入稿されると、事務局がブロガーにリリースを配信します。ブロガーが掲載の報告をすると、事務局が目で見てチェックをします。内容の確認ができれば掲載料を支払います。
ここまでが事務局の役割で、あとはブロガーから読者、読者から友人へと口コミで情報が広がっていきます。


【プレスブログのメリット】


(1)圧倒的な「訴求力」
プレスブログは、バイマの広告手法に悩んでたどり着いたものです。最近、バナー広告の効果は下降しています。バイマへのアクセス数が一番多いのはYahooやGoogle検索からですが、次に多いのはブログへのエントリー経由だったのです。そこに着眼し、ブログの記事に対象商品・サービスについての情報や自由な意見・エピソードを執筆してもらうことで大きな訴求力・信憑性を持たせることに成功しました。


(2)継続性のある「蓄積型広告」
ブログ記事は、バナー広告やメール広告のような出稿期間(掲載終了)という概念はありません。時が経っても基本的にインターネット上に残ります。そのため、リリース配信後も継続的に検索エンジン経由で、広告(記事)閲読数が上昇することが想定できます。


(3)低リスクの「掲載課金型」
ブログ掲載費は成果報酬にしています。「掲載単価×実際に掲載された数」となりますので、低リスクで費用対効果の高いプロモーションが可能です。また、ご発注時に設定頂いた上限掲載数以上のご請求をすることはありません。


(4)「掲載条件」を設定可能
ブログに書いてもらう情報内容を、クライアント企業側で設定することができます。ブロガーに送るリリースには、商品説明のほかに原稿料支払い条件を明記します。原稿の字数、盛り込んでほしいキーワード、書き方の方向性、使える画像、URLの掲載などです。これによって、プロモーションの目標に合ったプレスブログの実施ができるのです。


【成功のポイント】


成功のポイントは、初期の実績作りに注力し、先発のアドバンテージを得たことです。2005年に市場に投入以来、国内大手企業、外資系企業、官公庁を中心に300案件以上の実績があります。また、受注獲得に至るまでに、費用対効果の議論だけにならないよう、クライアント企業の課題抽出とそれに応じた施策の提案を行い、実施後にも定量・定性的なレポーティングによって施策の効果を分析しています。


そして、徹底した安全管理が行われていることも本サービスの強みです。ブログの投稿は全件目視チェックを行うほか、独自の運用指針を設定することにより、サービス開始以来、トラブルは一切発生することなく運営できています。




■filmo(フィルモ)
〜個人のクリエイティブ力を活用した世界初の制作ネットワーク〜
 


filmoは、消費者が考えて、消費者が創って、消費者が発信する消費者参加型の動画CM制作ネットワークです。マス広告ではもれてしまう面白いシチュエーションを、消費者自身に表現してもらい、ブログ等を通して周りの人に見てもらうのです。


現在、filmoには2万人のクリエータが登録されています。クライアント企業から依頼が来ると、クリエータにクリエイティブブリーフ(動画CM制作依頼書)を通知。興味を持ったクリエータが動画CMを制作します。納品された動画CMがクリエイティブブリーフの条件に合っていれば制作料が支払われる仕組みです。


【filmoのメリット】



filmoのメリットは、消費者の多種多様なリアルメッセージを集められることです。例えば「ドミノピザ」のCMであれば、女子高生、大学生、社会人、主婦では購入するシチュエーションが異なります。大学生であればパーティーですし、主婦であれば、子供の喜ぶ顔が見たい、たまには家事の手抜きをしたいといったシーンが表現されました。


【filmoの運営ポイント】
 


動画作成はユーザーが作りやすく且つ商品商材の魅力が伝わるよう、事務局からのコントロールが必要です。そのためクリエイティブブリーフが重要な役割を持っています。

 
また、実施の際に企業批判や公序良俗を危惧するお客様が多いため、事前チェックを導入し全ての動画を目視でチェックしています。一次審査をクリアした動画のみ、動画共有サイト等への公開を許可しています。  


filmoのユーザーはクリエイティブ志向の人であるため、クリエータと呼んで制作費をお支払いしています。さらに、モチベーションアップのために表彰制度も設けています。


【成功のポイント】  


filmoの成功要因として大きいのは、インフラが整ったことです。動画共有サイトの発達やモバイル、デジカメなど撮影ツールのスペックアップ、動画編集ソフトがwindows標準で添付されている。環境が整った今だからこそ実現したサービスであるといえます。  


ユーザーに作品発表の場を与えたことで、動画CMの拡散や口コミの広がりにもつながりました。ユーザー同士で評価や参加を呼びかけるコミュニティーも生まれています。  


表彰制度で入賞した作品が二次利用され、他のメディアとの相乗効果を生んだ例もあります。TBSラジオのプロ野球中継の動画CM入賞作品は、東京ドームや横浜スタジアム、街頭ビジョンでも放映され話題になりました。




● 質疑応答



Q1 filmoでは、1回の動画CMの公募にどれだけの作品が集まりますか?また、賞を取る人に偏りはないのですか?

A1 作品募集は100本/200本/300本単位で行っています。予定数より最大50本の上乗せが目安です。賞を取る作品は案件によってトーンが違います。TBSラジオのCMはお笑い
路線であったのに対して「東京タワー」のCMはシュールな路線といった具合です。


Q2 プレスブログは競合他社が真似しやすいビジネスだと思いますが、どのように差別化を行っていますか?

A2 特に差別化の施策は行っていませんが、先行企業として圧倒的な会員数、実績数を誇っています。


Q3 ナショナルクライアントを獲得できた理由は?

A3 愚直に丁寧な対応をしたことに尽きますが、1つ1つの案件に対してカスタマイズを行い、企画書を作成し提案を行ったこと、きめ細かいレポーティングを行ったことが挙げられます。最初のクライアントは映画のGAGA様でしたが、Google検索で、1位が公式ホームページ、2〜10位までにブログへのプレス書き込みが並んだことで評価をいただきました。


Q4 プレスブログの実施にあたって、ネガティブな書き込みをされるかもしれないことへの企業側の反応は?

A4 プレスブログ登録ブロガーが企業の誹謗中傷を行った場合は退会させますが、ネガティブな書き込みは正しい口コミと捉え、クライアント企業ともリスクを共有しています。クライアント企業においても、CGMに対するルールが変わってきていると感じています。


2007.6.22
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